名古屋高等裁判所 昭和26年(う)135号 判決
原判決が採用した書証を検すると原審公判調書によれば何れも検察官は被告人が同意した書証として其の取調を請求したことは明で所論の如く検察官が被告人に対し右書証を証拠とすることの同意を求め被告人は之に対し同意する旨の記載はないが然し被告人及弁護人の対席する公判廷に於て検察官が書証の取調を請求するに当り先づ被告人に対し右書面を示し之を証拠とすることの同意を求めないのに被告人の同意を得た書面として其の取調を請求することは常識上考へられないことであり又証拠調の決定に対し被告人及弁護人より何等異議を述べなかつたことも公判調書の記載によつて明であるから被告人の同意があつたことはこれを窺知することが出来る。従つて被告人の同意があつたものと見ることが出来るから論旨は理由がない。